人間力研究

第3回 立ち上がるのは自分自身(後半)

 食中毒発生後、当然に店は営業停止処分となり、会社そのものも倒産の危機に直面しました。

 私の名前は連日新聞紙面やテレビをにぎわせ「飲食業のプロとしての責任を問う!」そんな記事まで登場する始末です。当時の新聞には社長の名前が二回ほど載りましたが、それ以外は私の名前だけでした。

 「上司の指示で動いたのに・・・何故自分だけ・・・悪いのは調理員じゃないか・・・」
 そんな気持でいっぱいでした。


 数日後の深夜、店の幹部スタッフを帰宅させた後、私は退職届を懐に入れ営業停止中の暗い店の片隅にひとりポツンと座って天井の大きな梁を眺めておりました。

 突然、背後から社長の声が聞こえました。

 「今夜が山だそうだ。もし、誰か死んだら書類送検されるだろうな。いいな、俺は、お前にこの店を預けたんだ。ぶた箱へはお前が行って来い。調理師が悪いんじゃないぞ。この店のことはお前がすべて最期まで責任を持て! 会社は俺が責任を持つ。」
 その夜は、明るくなるまで社長とともに人生のことや仕事のことを語り明かしました。

 さて、その後、幸運にも誰も死ななかったので私は書類送検されることもなく、また、社長が私の退職を認めずに「責任を全うしろ」というので営業を再開いたしました。

 思えば、社長と一夜を明かしたあの日を境にして、私は大きく変わったと思います。

 あの日以来、自分の責任においてやらねばならないことは、たとえ上司や社長の指示であっても納得できないことは辞表を懐に拒否をするようになりました。仕事もやらねばならないことが山ほどあります。「知らない」という未熟さがいかに無責任で大変な事態を招くか骨身に染みましたから勉強も必死でやりました。

 食中毒事件以後1年間は、休みなしで店にいる時間が月400時間を超えました。(社労士の立場から見るととんでもないことですが・・。)バックヤードを増築したり、ご近所さん2000件ほどへ挨拶回りをしたり・・・そうして、半年後には当初予定していた売上高まで回復したのです。

 そんなとき、会社の相談役をされていたコンサルタントの先生が「脳力開発なるものをやってみたぞ。お前たちにも教えるからしっかり勉強せい」と言われました。それが、この「突破のための人間学」です。
 この人間学を学ぶうちに、社長と語り明かしたあの日に私の精神的姿勢が「他人だよりの姿勢から主体的な姿勢」に変わったのだということがわかりました。

 「他人だよりの姿勢」というのは、まずいことはいつも他人のせいにして相手をバカにします。その上、周囲をだめにするような不平や愚痴をいつまでもたらたらとこぼします。そして、自らは状況改善に向けて動きませんから、結果としてバカにしているはずの相手に流されて行きます。そうやって更に不平や不満だらけの人生を続けることになるのです。

 不平や不満があるのはあたり前です。愚痴ってもかまいません。でも、あなたの不快で困難な状況を変えるために立ち上がることができるのは、あなた自身をおいて他にはいないのです。

 さあ、皆さん、勇気を持って立ち上がってください!!

お問い合わせ  
給与計算  
相談事例  
人間学研究  
変革のための指針  
 
あずみの狼犬ふう ブログ
SRアップ21 本部

社会保険労務士法人 しなのSC

〒390-1132

長野県松本市大字空港東
8967-13

TEL:0263-87-8470

FAX:0263-86-8476

代表:田中勇司

関連組織

社)しなの経営労務支援センター

労働保険事務組合 しなのSC

しなの一人親方共済会